2017年7月18日火曜日

写真甲子園2017 東京ブロック大会出場





 都内50校の公立・私立高校が集まっておこなう写真コンテストにおいて、BEST10に選ばれました。




2017_写真甲子園
『目に見えないもの』 



「華の17歳」、「青春のかがやき」・・・。

高校三年生の私たちには、こうした言葉の中に、自分の姿を見つけることができません。なぜなら、今の私たちの前にあるのは、華やかな日常でも、待ち焦がれる未来でもなく、漠然とした、カタチのない不安や悩みだからです。

進路選択を前にした焦りと迷い。その中で自分だけが取り残されていくような感覚。他人の評価に縛られている閉塞感。集団から孤立する恐怖。何者にもなれない自分への苛立ちと葛藤・・・。

ある人はいいました。「そんなことで悩むなんて・・・。もっと青春を楽しみなさい」と。けれど、私たちの中で、この不安は一つの真実であり、確かな痛みを伴う現実です。同時に、私たちは思っています。この現実を見つめながら、前に進むのだと。そしてこの痛みから逃げずに立ち向かう姿を、同じ時を生きる私たちが表現しなければいけないのだと。

今回、私たちは陶芸部の一人の男子生徒を撮影しました。何かに追われるように懸命に粘土をこねる表情。葛藤しながらも、自分のやりたいことを続けていく姿勢。その姿は、目に見えない不安を見つめながら、日々シャッターを切る今の私たちと重なりました。ファインダー越しに見える「彼の姿」は、同時に「私たちの姿」でもありました。

写真の中で徐々に形が与えられていく「うつわ」は、陶芸をする彼の「ココロ」を象徴しています。目に見えない漠然としたココロにカタチを与えていこうとすること。それは未熟な自分を受け入れ、不安や悩みに対して向き合っていく勇気なんだと思います。どんなに格好悪くても、理想とする自分からかけ離れていても、少しずつでもつくられていく「自分の姿」なんだと思います。出来上がった「うつわ」は完成からは程遠いものかもしれません。けれど、その「うつわ」は世界にたった一つしかないかけがえのないものであるはずです。

『星の王子さま』のキツネは言いました。

「大切なものは、目に見えない」と。

けれど、私たちはそんな『目に見えないもの』にカタチが宿る瞬間を映し出し、写真に託して送ります。私たちと同じ悩みを持つすべての人のひかりとなるように。

 






















  これらの写真は作業過程として並んでいます。ですが徐々に形が与えられていく「うつわ」が象徴するものは製作する人の「ココロ」であり、それはまた私たち自身の不安定な「ココロ」だと思います。私たちの漠然とした想い―人間関係の中で孤立する恐怖、できない自分への苛立ち、進路選択を前にした不安・・・。そんな想いにかたちが与えられていく瞬間を、同じ時を生きる私たちが表現したい。『目に見えないもの』を映し出し、一人でも多くの人に伝えたい。そんな思いでこの作品をつくりました。